以前大変好評だった、パパの育休取得についてのコラムを書いていただいた、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、「そろそろ働こうかな?」「働き方見直してみようかな?」と思っているママがきっと気になるアレコレを、コラムにしていただくことになりました★
コラムを読んで、多くのママ達の役に立てば嬉しいです!
まずは、2021年10月1日より、全国の地域別最低賃金が改定されたことによって、扶養内で働くママにどのような影響があるか、詳しくまとめていただきましたよ★
—+—+—+—+—+—+—+—+—+—+—
2021年10月1日より、全国の地域別最低賃金が改定され、どの地域も時間当たりの最低賃金が28円ほどUPしました!
地域別最低賃金は年に1回改定が行われますので、今後ますます賃金の平均額も上がっていきそうです。
でも、この状況に手放しで喜べないのが扶養内で働くママですよね。
「収入が増えると扶養の要件から外れるかもしれない…」
「今の働き方のままでいても大丈夫なの?」
「扶養を抜けるとどうなるの??」
そこで今回は、時給1,200円とした場合の、働く時間別の扶養との関係や、受けられる制度の違いについてお話してみたいと思います!
その前に再確認!○○円の壁
扶養には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは自分自身に税金がかからなかったり、配偶者が税金面で優遇を受けられる「税法上の扶養」。
もう1つは社会保険料を支払わなくても社会保険上の一定のサービスを受けられるようになる「社会保険上の扶養」です。
どちらも自分自身の収入によって、扶養となれるかどうかが変わってきます。この収入要件のボーダーラインのことを「○○円の壁」と言ったりしますよね!
下にそれぞれの年収の壁をまとめてみましたので確認してみてくださいね。
働く時間が変わると何が変わる?
~時給1,200円の場合~
それでは、実際にシミュレーションしてみましょう!
<前提条件>
- 今回は正社員が1日8時間、週40時間で働く会社(法人)で勤務していることとします。
- 勤務は週5日とします。
- 平均して1ヶ月当たり20日の勤務とします。
- 社員数は正社員で60人ほどです。
◇週15時間(1日3時間)で働く場合
★週15時間で働く場合の年収の見込み額は約86万円です。
★よって所得税や住民税はかかりません。
週15時間の勤務であれば雇用保険にも社会保険にも加入できませんが、配偶者が会社の加入する社会保険に加入していればその扶養に入ることが可能となります。
◇週20時間(1日4時間)で働く場合
★週20時間で働く場合の年収の見込み額は約115万円です。
★103万円の壁を越えてしまうため、所得税や住民税を負担する必要があります。
また、週に20時間以上の勤務の場合は雇用保険に加入する必要がありますので、雇用保険料の負担も発生します。
社会保険は配偶者の扶養に入ることができますが、正社員数が60人ほどの会社に勤めているため、2024年の10月以降は扶養を抜けて自分自身で会社の加入する社会保険に加入することとなります。
(社会保険料は収入の約14%程度です。)
◇週25時間(1日5時間)で働く場合
★週25時間で働く場合の年収の見込み額は約144万円です。
★先ほどと同様、所得税や住民税、雇用保険料を負担する必要があります。
また130万円の壁を超えるため、配偶者の扶養に入ることはできません。
しかし、会社が加入する社会保険に自分自身も加入するには「正社員の3/4以上の時間勤務していること」という要件に該当しなければなりません。
正社員が週40時間で働く会社の場合、3/4以上の時間=週30時間以上ということになりますので、この場合は会社の加入する社会保険には入ることができず、自治体の国民健康保険に加入し、自身で国民健康保険料と国民年金保険料を支払うことになります。
◇週30時間(1日6時間)で働く場合
★週30時間で働く場合の年収の見込み額は約173万円です。
★週30時間以上働くため、会社の加入する社会保険に自分自身も加入することとなります。
つまり、所得税、住民税、雇用保険料、社会保険料を負担することとなります。
いかがでしたでしょうか?
国民健康保険料や住民税の詳しい金額については、お住いの自治体にご確認くださいね!
雇用保険や社会保険には
加入するメリットも!
働く時間が増えると雇用保険や社会保険に加入しなければならず、負担も重く感じられたかもしれません。
ですがこれらの保険にはたくさんの役立つ制度が設けられています。
◇雇用保険に加入すると得られるメリット例
- 育休手当(育児休業給付金)が受給できる。
- 会社を退職後、失業手当(基本手当)が受給できる。
- 資格取得の際には給付金が受給できることがある。
※それぞれ要件に該当することが必要です。
◇社会保険に加入すると得られるメリット例
- 産休手当(出産手当金)が受給できる。
- 病気やケガでの4日以上の欠勤で給与保障(傷病手当金)が受けられる。
- 将来の年金額がUPする。
- 障害を負ったときは65歳になる前から年金を受けられることがある。
こう見ると、たくさんの恩恵が受けられそうですよね。
これらのメリットも十分加味しながら、皆さんにとって1番納得のいく働き方を選んでみてくださいね!
■渋谷恵美氏 プロフィール
2児のママ。社会保険労務士。
働くことのプロとして、企業の労務管理のサポート、相談、指導、アドバイス等を行っています。その傍ら、働くママに向けて知って得する情報をInstagramにて配信中。