「そろそろ働こうかな?」
「働き方見直してみようかな?」
と思っているママ・パパが気になるアレコレを、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、分かりやすくまとめてコラムにしていただいている【働くママ・パパのお役立ち情報】!
このコラムを読んで、多くのママ・パパ達の役に立てば嬉しいです!
それでは早速ご覧ください…♡
こんにちは。
社会保険労務士の渋谷恵美です。
妊娠・出産・育児によって、仕事から長く離れる期間ができたり働き方や時間の使い方ががらりと変わることも多いですよね。
でもそんなときに気になるのが給与や仕事と育児の両立のこと。
収入ってどうなるの?
うまく両立できるのかな…
と悩むご家庭が多いのではないでしょうか?
そこで今回は、育児世代のパパ・ママに知ってほしい「妊娠・出産・育児に使える制度」を厳選してお伝えしたいと思います!
その1
妊娠時のトラブルで会社を欠勤。
そんな時は「傷病手当金」
こちらは、健康保険に自身で加入している場合に使える制度です。
妊娠時にはつわりや切迫流産、切迫早産などのトラブルで会社をしばらく休業せざるを得ない場合があります。
休業となると会社から給与が出ない…!
そんな時に活用したいのが『傷病手当金』です。
休業が必要と医師が証明した期間について、休業開始4日目から休んだ日に応じて給与の2/3程度が支給されますよ!
土日などの会社の休日も支給対象日に含まれます。
※加入先が国民健康保険の場合は活用できないケースもありますので、必ずご確認ください。
その2
出産のために産前産後休業を取得。
そんな時は「出産手当金」
こちらも、健康保険に自身で加入している場合に使える制度です。
産前産後休業(以下、産休)を取得する場合、その間は会社から給与が出ないケースが多いですよね。
そんな時に活用したいのが「出産手当金」です。
出産予定日前6週(出産予定日より前に出産した場合は出産前6週)から出産の翌日より8週目までの期間で産休を取得した日に応じて、こちらも給与の2/3程度が支給されますよ!
その3
産休後に育児休業を取得。
そんな時は「育児休業給付金」
こちらは、雇用保険に自身で加入している場合に使える制度です。
ママの場合は産休終了後、子が1歳になるまでは継続して育児休業(以下、育休)を取得することができます。
パパは子が出生した日(または予定日)から育休が取得可能となりますが、育休中も会社から給与が出ないケースが多いです。
そんな時は「育児休業給付金」が活用できます。
金額は育休を取得した日数に応じて給与の2/3程度(育休開始180日目まで、その後は1/2)が支給されます。
ちなみに、産休中も育休中も、要件に該当すれば社会保険料の免除が受けられます。
「産休・育休中は給与の2/3が支給される」としていますが、社会保険料の免除を考慮すると、手取り額で換算すれば実に収入の約8割が国からの支給で保障されるという計算となります。
これはありがたいですよね!
その4
育休取得後は
「養育特例制度」の活用を!
育休から復帰後は残業ができなくなったり時短勤務になるなど、出産前よりも働ける時間が減ってしまうことってありますよね。
一方で厚生年金の額は、保険料を支払っている間の給与額によって決まります。
働く時間が減ると給与額も減る、そうなると将来の年金額にも影響してしまう…。
そこで活用したいのが「養育特例制度」です。
復帰後給与が低下した場合でも、子が3歳に達するまでの期間については「出産前の高い給与額をもらっていた」ものとみなして将来の年金額を計算してくれるんです!
これはお得ですよね◎
ただし注意したいのが、これは勝手に適用されるわけでなく、必ず本人からの申し出が必要になる点。
復帰後の給与額が減った場合は必ず年金事務所に申し出をしてくださいね!時効は2年です。
その5
子どもの健診や予防接種にも使える!
「子の看護休暇制度」
子どもが小さいと、頻繁に病気をもらってきて保育園等を休むことって多いですよね。
また、小さい時期は予防接種や健診も多く、そのために会社を休まなければならないことも増えます。
でも、もう有給休暇も少ないし…。
そんな時には「子の看護休暇」が活用可能です。
小学校に就学前の子がいる場合に年間5日まで(小学校就学前の子が2人以上いる場合は10日まで)使うことができます。
時間単位でも使うことができますよ!
ただし、法律では有給とすることまでは認められておらず、例えば富山県では約7割の企業では無給としています。
ですが欠勤と違って勤怠評価をマイナスにするなどといった不利益な取り扱いは禁止されているため、欠勤とするよりは活用することにメリットがありますよ!
ちなみに現段階で、令和7年に子の看護休暇を「子が小3まで」活用できるようにする案も出ています。
こちらも楽しみですね♪
あらかじめの制度の確認を
このような育児等に関する制度は様々ありますが、実際は後々になってその存在を知るケースが多いように感じます。
私のところにも「まだ間に合いますか?」「知っていたらもっとこうしたのに」といったような質問やコメントが寄せられることが多いです。
ですので、特にこれから妊娠・出産・育児を迎えるパパやママは制度の確認をしておくことをお勧めします。
また、令和7年には育児制度が大きく変わることも予定されていますし、育児制度は改正が多い点も特徴です。
ぜひ、今後の動向にも注目していただければ幸いです!
■渋谷恵美氏 プロフィール
2児のママ。社会保険労務士。
働くことのプロとして、企業の労務管理のサポート、相談、指導、アドバイス等を行っています。その傍ら、働くママに向けて知って得する情報をInstagramにて配信中。