以前大変好評だった、パパの育休取得についてのコラムを書いていただいた、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、「そろそろ働こうかな?」「働き方見直してみようかな?」と思っているママがきっと気になるアレコレを、コラムにしていただくことになりました★

コラムを読んで、多くのママ達の役に立てば嬉しいです!

それでは早速ご覧ください…♡

 

こんにちは。
社会保険労務士の渋谷恵美です。

 

「育休を取得して、1年経ったら今の職場に戻ってこよう!

はじめはそう思っていても、実際に育児をし始めると自分の置かれている環境や心境は変化していくもの。

場合によっては「復帰はせずにこのまま退職をする」という選択をすることもあるかと思います

でも、育休中に退職したら何がどう変わるんだろう?
何か注意することってあるの?

通常の退職と違う分、わからない点ってたくさんありますよね。

そこで今回は、育休中に退職となった場合に知っておいてほしい3つのことについてご紹介したいと思います。

 

 

その1
育休中に退職すると育児休業給付金ってどうなるの?

結論から言うと、退職後は育児休業給付金の支給はストップしてしまいます。

というのは、育児休業給付金は復帰することが前提で支給されるものだからです。

また育児休業給付金は、育休開始日を基に決められる「支給単位期間」という期間ごとに給付が行われるため、日割り計算はされません。

つまり、退職をする場合、退職日から育児休業給付金が支給されなくなるのではなく、退職日を含む支給単位期間分から支給がストップしてしまいます。

 

 

ちなみに、復帰が前提の育児休業給付金ですが、諸事情により復帰ができなかったとしても、返金の必要はありません。

 

 

その2
育児休業給付金がストップしたら他に制度は受けられる?

復帰せずに退職した場合、通常の退職と同じく「失業手当(正式には雇用保険の基本手当)」が受けられます。

ただし、失業手当を受けるにはいくつかのルールがあります。

例えば、失業手当は、4週間に1度のペースで失業状態や求職活動の実績が確認され、そこでOKとなってはじめてその期間分の手当が支給されるという仕組みです。

退職したから一括で受け取れる、というわけではありません。

しかも失業手当が受け取れるのは、原則として離職日の翌日から1年以内。

育児のためになかなか求職活動もできず、気づいたら受給期間の1年間も過ぎてしまっていた…(泣)。ということも起こってしまうんですよね。

 

ですが、実は3歳未満の子の育児等が理由で求職活動ができないということであれば、「受給期間の​延長手続き」をすることができるんです!

最長3年まで延長は可能なんです♡

 

 

申請は、退職した日から約1ヶ月超経過すれば可能となります。

また、延長後の受給期間の最後の日までであれば申請は間に合いますが、あまりギリギリになると失業手当の全てを受給できない可能性もでてきますので注意してくださいね。

 

 

その3
育休中に退職したら保活は大変な傾向に…

子どもを保育所等に入所させる際、その保育所の受け入れ可能数よりも申し込み数が多いと、それぞれの家庭ごとに採点が行われます。

そして点数の高い家庭から優先して入所が決定されていきます。

この際、原則は就労中(育休中)という方が、求職中の方よりも点数が高くなる傾向にあります。

特に、「年齢が小さい子を入所させたい!」となった場合は、そもそもの受け入れ可能数が少ない場合が多く、求職中であることで希望の保育所等へ入れないという現実もあるように感じます。

 

求職活動をしたいのに、保育所に預けられないとなったら、一体どうすればいいんだろう…。

一時保育も割高だし…。

 

そんなときに利用していただきたいのが「求職活動関係役務利用費」です。

求職活動をするために保育サービスを利用した場合、負担した費用(保育等サービス利用費)の80%を支給してくれます(1日あたりの支給上限額は6,400円)。

 

例えば、お子様を保育園に入れたい月に標準をあわせて、延長した失業手当を受給しながら求職活動をする、その際にお子様は一時保育に預けてその利用料も補助してもらう。

そうすれば家計の負担も減らすことができ、やりたい仕事も入所もより確実に狙えるかもしれませんね!

 

 

制度を賢く組み合わせて無理のない育児を!

育休中に退職することである程度のデメリットができるのも事実です。

ですが、上でご紹介してきたように、制度を上手に利用することでその穴を少しでも埋めることができるように思います。

そうすれば、不安も和らぎますよね。

 

ただ1つ注意したいのは会社への申し出のこと。
会社は、1年後に戻ってくる予定として、代替の人を頼んだり、配置を検討したりしてくれています。

やむを得ず退職という選択をする場合には、会社への迷惑にならないようなるべく早めにその意思を伝えましょう。

例えば退職を決める前に、前もって1度上司等に相談されてみるのも良いかもしれませんね。

 

 

ぜひ皆さんにとって、最良な選択を考えてみてくださいね!