「そろそろ働こうかな?」
「働き方見直してみようかな?」

と思っているママ・パパが気になるアレコレを、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、分かりやすくまとめてコラムにしていただいている【働くママ・パパのお役立ち情報】!

このコラムを読んで、多くのママ・パパ達の役に立てば嬉しいです!

それでは早速ご覧ください…♡

こんにちは。
社会保険労務士の渋谷恵美です。

 

先日、私の住む富山県ではこんなニュースが流れました。

「富山県の最低賃金は
 10月1日より
948円になる見込みです」

現在、富山県の最低賃金は908円
それよりもなんと40円もUPとなる見込みなんです!

もちろん、最低賃金のUPは富山県でのみ行われるわけではありません。
各都道府県でも10月1日より今の最低賃金を40円程度UPさせることを予定しています。

東京ではなんと最低賃金が1,113円に!
こう見ると金額の高さにびっくりしてしまいますよね。

 

最低賃金が上がると、私たちの給与にも少なからず影響しそう。
うれしい反面、実は知っておくべき気を付けたいポイントがあるんです。そこで今回は、そのポイントについてご紹介していきたいと思います!

 

まずは確認!最低賃金って?

従業員の給与額は会社毎に決められますが、好き勝手に決めていいわけではなく、いろいろなルールに基づく必要があります。

その中の1つが「最低賃金」

1時間当たりに支払う金額の最低ラインが法律によって決められているんです。
最低賃金には①地域別最低賃金と、②産業別最低賃金があり、そのうち①地域別最低賃金は例年10月頃に引き上げが行われます。

ちなみに、もし最低賃金を下回る給与が支払われていた場合、それが会社と従業員の間で合意をしていたとしても、無効となります。

会社は従業員にその差額分を支払わなければなりません。

 

気を付けたいポイント①
収入調整しているパパ・ママは働く時間に注意!

例えば、社会保険の扶養に入るには「年収130万円未満であること」という要件がありますが、この年収要件は最低賃金がUPしても変わりません。

つまり、収入が一定額を超えないように調整している場合は、働く時間を抑える必要が出てくるわけなんです。

 

\富山県の例でみてみましょう!/
908円の最低賃金で働いた場合、年収130万円未満となるように働くとすると、月々119時間まで働くことが可能となります。

ですが、時給が948円となると、月々114時間を超えて働くと年収130万円を超えてしまう可能性が…!

これは賞与を考慮していない時間ですし、時給が上がれば上がるほど、この時間数は減っていきます。
10月以降に給与額が変更になる場合には注意していきたいですね!

 

気を付けたいポイント②
フリーランスは対象にならない!

最低賃金の対象はあくまでも「労働者」。

フリーランス等が行う「請負契約」の場合には、その報酬額に最低賃金は影響しません。

ただし、その業務の実態が労働者性が強いと判断される場合には、例え見た目上は請負契約であったとしても最低賃金の適用を受ける可能性があります。

フリーランスのパパ・ママが請負契約を交わす場合には、その報酬額や業務の実態を正確に把握しておくことが必要です。

 

気を付けたいポイント③
最低賃金には含まれない手当がある!

最低賃金は1時間当たりの額となりますので、正社員等月給の場合は、自身の給与を1時間当たりの額に直して確認する必要があります。

その場合、一般的には「1か月にもらえる給与の額÷月平均の所定労働時間数」で計算をするのですが、この「1か月にもらえる給与の額」に含んではいけないとされている手当があるんです。

例えば、家族手当、通勤手当、精勤手当、固定残業代などです。

これらの手当額が高いと、見た目は給与額が十分であっても、実際には最低賃金割れを起こして法違反となっている、との可能性も出てきます。

最低賃金を超えているかどうかを確認する際には、手当の種類に気を付けてくださいね!

 

 

気を付けたいポイント④
賃金が上がれば保険料も上がる可能性も。

まず雇用保険料は賃金総額に保険料率をかけて算出するため、収入の増加に応じて負担する保険料は上がります。

また、社会保険料も一定以上収入が上がれば改定となる可能性も。その場合は、収入が増えた月から4か月目の保険料より改定となります。

さらに所得が増えれば、所得税や住民税、保育料などにも影響が…。

これを機に、ふるさと納税やiDeCoなどの節税について検討するのもよいかもしれませんね!
 

 

 

今後も最低賃金額は増加していく見通し

今回の改正で、過去最高の引き上げとなった最低賃金ですが、来年以降も金額は増加していくことが予想されています。

最低賃金の増加は会社の人件費の増大に直結するため、これをきっかけにして社内での働き方改革や業務効率UPの施策などが今まで以上に推し進められるのではと考えています。

私たちの働き方にも大きく影響してくるかもしれません。

また今回は、最低賃金が変わる際に気を付けたいポイントとして4つ紹介をいたしました。これを機に、自分自身の給与はどうなっているのか今後の働き方をどう変えていくことが自分自身にとってベストなのか、みなさんにも考えてみていただければ幸いです。
意外に気が付かなかったことが見えてくるかもしれません!

今回の改正が、皆さんの働き方にも良い影響が生まれることを期待しています◎


■渋谷恵美氏 プロフィール

2児のママ。社会保険労務士。
働くことのプロとして、企業の労務管理のサポート、相談、指導、アドバイス等を行っています。その傍ら、働くママに向けて知って得する情報をInstagramにて配信中。

 

Instagram @workingmom_my

□HP:https://toyama.tw/

 

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