以前大変好評だった、パパの育休取得についてのコラムを書いていただいた、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、「そろそろ働こうかな?」「働き方見直してみようかな?」と思っているママがきっと気になるアレコレを、コラムにしていただくことになりました★

コラムを読んで、多くのママ達の役に立てば嬉しいです!

それでは早速ご覧ください…♡

 

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こんにちは。社会保険労務士の渋谷恵美です。

ママになって育児をするようになると、仕事と家庭の両立について悩んだり、自分の今後の働き方について考える機会が増えていきます。

その際に「思い切って会社を辞めて自分で働きたい!」と考えることも。

 


でも、ちょっと待って!

会社を辞めてフリーランスや個人事業主として働きだすと、今まで当たり前に受けられていた制度が対象外になってしまうこともあるんです。

 

そこで今回は、フリーランスや個人事業主でもできること(受けられる制度)と、できなくなること(受けられなくなる制度)をいくつかご紹介したいと思います。

 

 

フリーランスや個人事業主も
対象となる制度

○社会保険の扶養

「自分で仕事をする=扶養ではない」というイメージってありますよね。

でも、大丈夫!
フリーランスや個人事業主として働いている場合でも、ご家族の加入する社会保険の扶養(被扶養者)となれるんです。

もちろん、一般と同様に「年収が130万円未満」などといった要件に該当することが必要です。

フリーランスや個人事業主の場合、その収入をみて130万円未満かどうかを判断しますが、例えば家賃やシステム料金といったように「事業をするには必要不可欠な費用」は収入より控除できる場合があります。

詳しくはお近くの年金事務所にお問い合わせしてみてくださいね!

ただし、扶養者(例えば旦那さん)の加入する健康保険組合によっては、個人事業主であることを理由に被扶養者とは認めない、としているところもあるようです。
まずは一度、ご家族の加入先の健康保険組合等にもご確認を。

ちなみに、同じ独立でも「法人を設立する場合」は話が別。
法人の常勤役員となり報酬が発生する場合は自身での社会保険の加入が必要ですのでお気を付けください。

 

○出産育児一時金の受給

出産をすると、約42万円が支給されますが、これは社会保険に加入している場合だけでなく、被扶養者の場合や自身が国民健康保険(※)に加入している場合でも受給可能です。

ちなみに、出産育児一時金は妊娠12週以降であれば、出産だけでなく、死産や流産の場合でも受けることができますよ。

※年収要件が満たされず被扶養者となれない場合、ご自身で各自治体等の国民健康保険(国保)に加入する必要があります。

 

 

フリーランスや個人事業主は
対象とならない制度

○産休手当の受給

産休手当(正式には「出産手当金」)は原則、会社員や公務員のうち自身で社会保険に加入している場合に受給できます。

ですので、被扶養者や自身で国保に加入しているなどの場合は出産手当金は受給できません。
ただし、ここ最近は一部の国保組合では出産手当金の制度を新設するところも出てきています。
出産を控えているママは、ぜひ加入する国保組合にご確認ください。

 

○育休手当の受給

育休手当(正式には「育児休業給付金」)は雇用保険に加入している場合に受給できます。

雇用保険は、原則「労働者」が加入できる制度ですので、労働者ではないフリーランスや個人事業主は加入することができません。
つまり、育児休業給付金も受給はできないのです。

 

○失業手当の受給

失業手当(正式には「基本手当」)は雇用保険に加入している方が、失業状態になり、その求職活動中に受給できます。
しかし、例えば開業届を提出した場合、その方は「失業状態」ではなくなるため、基本手当もそれ以降は受けられません。
(支給残日数によっては「再就職手当」が受給できる場合があります。)

また、独立後、その事業が廃業となったとしても、そもそも雇用保険に加入していないため、その後基本手当を受給することはできません。

 

○資格手当の受給

資格手当(正式には「教育訓練給付金」)とは資格取得やキャリアアップのための講座等(※)を修了した際に、受講費用の一部が支給される制度です。

こちらも、雇用保険の加入者、または雇用保険の資格喪失後1年以内の方が対象となるため、離職した後の期間によっては受給ができなくなります。
資格取得やキャリアアップのために講座の受講を検討している方は、退職前、あるいは退職後速やかな受講をお勧めいたします。
※厚生労働大臣の指定したものに限る

 

 

自分で働くことは、やっぱり楽しい!

ここまでを読んで「フリーランスや個人事業主ってなんだか手厚くないんだな…」と少し後ろ向きに感じられたパパママもいらっしゃるかもしれません。

ですが、もちろんマイナスなことばかりではありません!

私も個人事業主ですが、勤務時代と違って時間に融通がきいたり、休みやすい環境になり、育児も楽しくできています。

それに「好きなことを仕事にできる」っていうのも大きな魅力の1つ。
たった1度の人生、楽しく過ごしていきたいですよね!

もし、自分で仕事をしたいと思っているパパママがいらっしゃれば、ぜひ一歩進んでみるのはいかがでしょう?

皆さんの素敵な働き方を、応援しています!

 


■渋谷恵美氏 プロフィール

2児のママ。社会保険労務士。
働くことのプロとして、企業の労務管理のサポート、相談、指導、アドバイス等を行っています。その傍ら、働くママに向けて知って得する情報をInstagramにて配信中。

Instagram @workingmom_my