「そろそろ働こうかな?」
「働き方見直してみようかな?」
と思っているママ・パパが気になるアレコレを、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、分かりやすくまとめてコラムにしていただいている【働くママ・パパのお役立ち情報】!
このコラムを読んで、多くのママ・パパ達の役に立てば嬉しいです!
それでは早速ご覧ください…♡
こんにちは。
社会保険労務士の渋谷恵美です。
10月から私たちの働き方に大きく影響する2つの制度改正が行われます。
この改正で、私たちはどんなことに気を付けなければならないのでしょうか。
今回は、そのポイントについてご紹介していきたいと思います!
10月から何が変わる?
①最低賃金がUPします。
給与額は、その最低のラインが法律によって決められています。
これを最低賃金といいます。
例えば私の住む富山県では2024年8月現在、最低賃金は「948円」であるので、会社はスタッフに1時間当たり「948円」以上の給与を支払わなければなりません。
月給の場合も、時給額に換算した金額が最低賃金を上回っていないと、法違反となります。
この最低賃金額が、10月より変わります。
しかも今年は50円程度のUPが行われる予定なんです!
②社会保険の加入要件が変わります。
社会保険は原則、フルタイムで働く方+週の勤務時間や月の勤務日数がフルタイムの3/4以上である方が加入しなければなりません。
言い換えれば、フルタイムの3/4未満の時間数や日数で働く場合には加入とならないケースが多いです。
このルールが、10月より変わります。
従業員数が51人以上の会社で働く場合、以下の要件にすべて該当すると、新たに社会保険に加入しなければならなくなります。
※厚生労働省 「社会保険適用拡大の こんなとき!どうする? 手引き」より
気を付けたいポイント①
「年収130万円未満」を超える時間を確認しておく!
社会保険の扶養に入るには「年収130万円未満であること」という要件があります。
例えば現在の時給が1,000円の場合、年収130万円未満となるように働こうとすると、月々108時間以内に抑える必要があります。(賞与がない場合)
週に換算すると24時間程度です。
ですが、時給が50円UPし、1,050円となったとしたら。
月に働ける時間数は月々103時間以下となります。
週に換算すると23時間程度です。
このように、年収130万円未満に収入を抑えようとした場合、時給がUPすることで勤務可能時間数が減ってしまいます。
扶養のパパ・ママは、変更後の時給で働く時間がどの程度減ってしまうのかについて、ぜひ押さえておいてくださいね!
気を付けたいポイント②
安易に勤務時間数を減らさない!
スタッフが51人以上の会社にお勤めの場合、10月からは「週20時間以上の勤務」で社会保険に加入義務となるケースが出てきます。
これは年収が130万円未満の場合でも関係なく、必ず加入することとなります。
つまり、社会保険の扶養のままでいたいとするならば、週20時間未満の勤務へと労働条件を変更する必要がでてきます。
ここで注意したいのが週20時間未満の勤務に変更することで、雇用保険にも加入できなくなるという点。
なぜなら、雇用保険の加入要件が「週20時間以上の勤務」であるからなんです!
雇用保険は加入することで、以下のようなメリットがあります。
- 退職しても求職期間中は手当がもらえる(基本手当)
- 育休中に手当がもらえる(育児休業給付金)
- 資格を取るための手当がもらえる(教育訓練給付金)
働く時間を変更することで、これらのメリットも受けられなくなることを知ったうえで、今後の働き方を考えたいですよね。
特に今から転職を考えていたり、今後家族が増える予定のあるパパ・ママはよく検討してから働く時間を変更してくださいね。
気を付けたいポイント③
130万円を超えたら事業主の証明を...は使えない!
「でも年収130万円を超えても、会社が証明してくれれば扶養に入ったままでいられるんじゃなかったっけ?」
繁忙期に労働時間が長くなってしまい、一時的に収入が増えたことで年収130万円を超えてしまった場合。
そんな場合でも会社の証明書があれば扶養に入ったままでいられる、といった制度が昨年発表されました。
けれどこれって「一時的に収入が増えた場合」。
時給が上がったことによる年収UPって、一時的ではないですよね。
ですので、原則この制度は使えないということになります。
特に転職の際は注意を!
このように、同じ勤務時間であっても、それぞれが働く会社の規模や時給金額によって、社会保険の加入要件や受けられる制度が変わってしまうんですよね。
今後もし転職をするとなった場合には、はじめにしっかりと条件を確認しておかないと「こんなはずじゃなかったのに!」と困惑や後悔にもつながってしまうことも・・・。
求人票は今まで以上にしっかりチェックすることが大切です。
また、現在国は、各企業に「配偶者手当の見直し(廃止)」についての検討をするように勧めています。
扶養に入るメリットの1つに、「配偶者が家族手当をもらえるから」といった声も良く聞かれますが、配偶者手当の見直しが進めば、今後はこのような恩恵も少なくなってくるように感じます。
目まぐるしく変わる働き方とお金の関係。
ぜひポイントだけでも押さえておいてくださいね!
■渋谷恵美氏 プロフィール
2児のママ。社会保険労務士。
働くことのプロとして、企業の労務管理のサポート、相談、指導、アドバイス等を行っています。その傍ら、働くママに向けて知って得する情報をInstagramにて配信中。