以前大変好評だった、パパの育休取得についてのコラムを書いていただいた、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、「そろそろ働こうかな?」「働き方見直してみようかな?」と思っているママがきっと気になるアレコレを、コラムにしていただくことになりました★
コラムを読んで、多くのママ達の役に立てば嬉しいです!
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「私って育休が取れますか?」と聞かれることがよくあります。
この質問について説明するのって、実は大変ややこしいんです…!
というのは、多くのママが「育休が取れる=育休手当ももらえる」と思っているから!
でも実はこれって、イコールではないんです。
そこで今回は、このよくある勘違いについて解説してみたいと思います。
特にこれから出産を予定しているパパママはぜひ見てくださいね!
まずは知りたい!「育休って何?」
「育休」とは正式には「育児休業」といい、その名の通り「子を養育するための休業」のことを指します。
育児休業は、法律の中で「要件に該当する場合で本人が申し出た場合には必ず取得させなければならない」と決められています。
つまり、要件に該当すれば、育休は誰でも取得することができるということです。(要件はこの段落の最後に載せてあります。)
また、育休の期間ですが、法律上で決められているのは「子どもが1歳になるまで」。
ただし、その子が保育所に入所できない、といったような特別な理由があれば、最長で子どもが2歳になるまで育児休業の取得が認められます。
ちなみに、この要件は国で決められた最低基準であって、会社ごとにこれを上回る制度とすることが望ましいとされています。
ですので、例えば会社が独自に育休期間を2年、3年までOK!と設定することも可能ですし、最近ではそのような上回った制度としている会社も徐々に増えているように感じます。
育休中に育休手当は必ずもらえない!?
それでは、次に「育休手当」について見てみましょう。
国の法律では「申し出があれば必ず育休を取得させるように」とは定めていますが、「その間会社から賃金や手当を出すように」とまでは求めていません。
つまり、会社から賃金や手当を出すか出さないかはその会社ごとに決めてOKなんです。
でも会社からお金が出ないとなると、育休中の生活にも困ってしまいますよね。
そんなパパママのためにある仕組みが、雇用保険から支給される「育児休業給付金(いわゆる育休手当)」なんです。
ただし、育児休業給付金は誰でも受け取れるわけではありません。
以下の要件に該当した場合のみ受け取ることが可能となります。
例えば入社してすぐに妊娠し、入社11ヶ月目の時に出産となった場合を考えてみましょう。
この場合は「育児休業開始前の2年間のうちに11日以上働いた月が12ヶ月ある」の要件を満たせない可能性も高く、結果、育休は取得できるけど、雇用保険から育児休業給付金は支給されないということになってしまいます。
また、3年までの育休を認めている会社で、3年間の育休取得をした場合です。
育児休業給付金は原則、子どもが1歳になるまでの支給となります。
保育所に入所できないといったような特別な理由があった場合でも、最大2歳になるまでの支給です。
ですので、3年間の育休を取得したとしても、3年間ずっと育休手当が支給されるわけではなく、途中でその支給は終了してしまうんです。
安心して育休を迎えるために…
このように、「“育休が取得できる=育休手当が必ずもらえる”というわけではない」ということがわかっていただけたでしょうか?
出産後は何かとお金がかかるもの。
いざ育休に入ってはじめて、その間育休手当が出ないとわかったら…汗!!!
後々知ることで、今後の育児にも不安を感じてしまうかもしれませんよね。
あらかじめ制度を知っておけば、要件への不該当を回避できたり、心づもりや準備をしておくこともできるため、焦りや不安も解消できるように思います。
または、復帰時期の参考にもできますよね。
ぜひ、制度をちゃんと知って理解して、賢く育休を取得してくださいね!
■渋谷恵美氏 プロフィール
2児のママ。社会保険労務士。
働くことのプロとして、企業の労務管理のサポート、相談、指導、アドバイス等を行っています。その傍ら、働くママに向けて知って得する情報をInstagramにて配信中。