「そろそろ働こうかな?」
「働き方見直してみようかな?」

と思っているママ・パパが気になるアレコレを、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、分かりやすくまとめてコラムにしていただいている【働くママ・パパのお役立ち情報】!

このコラムを読んで、多くのママ・パパ達の役に立てば嬉しいです!

それでは早速ご覧ください…♡

こんにちは。
社会保険労務士の渋谷恵美です。

会社を辞めたら旦那さん(奥さん)の扶養に入りたい

そう思っていても、気になるのが収入要件。

 

退職前の収入が多いけど、私は扶養に入れる?
扶養っていつから入れるの?

 

実はこのような質問を受ける機会って本当に多いんです!
そこで今回は、扶養についてよく聞かれる質問についてお答えしていきたいと思います。

再確認!そもそも扶養って何?

過去の記事「最低賃金がUP!働く時間を変えたいけど、どんな影響があるの?でもご紹介しましたが、ここで再確認。

扶養には大きく分けて2つのタイプがあります。

1つは、自分自身に税金がかからなかったり、配偶者が税金面で優遇を受けられる「税法上の扶養」
もう1つは、社会保険料を支払わなくても社会保険上の一定のサービスを受けられるようになる「社会保険上の扶養」です。

どちらも自分自身の収入によって、扶養となれるかどうかが変わってきます。この収入要件のことを世間では「○○円の壁」とも言っていますよね。

以下の図にまとめてみたのでご確認ください。

 質問① 
年収要件って、
どのタイミングで見るの?

「会社を退職したのですが、すでに今年の収入がたくさんあります。私はいつから扶養に入れますか?」

最も多いのがこのような質問です。

実は、税法上の扶養と社会保険の扶養では考え方が異なるんです。

★103万、150万の壁などは1月1日~12月31日の実際の収入で考える
つまり、すでに今年の収入が高い場合は税法上の扶養には該当しない可能性が高くなります。

★130万の壁はここから1年間の見込みの年収で考える
例えばすでに今年の収入が200万円ほどあるとしても、退職してしまうとこの先の収入
は0円となりますよね。
そうなると、現状が続けば今後1年間の収入は0円となるわけです。
つまり、年収130万円未満となる見込みとなるため、年収要件を満たす可能性が高くなります。

※旦那さん(奥さん)が健康保険組合に加入している場合はその組合ごとで年収要件の確認方法が異なります。詳しくは加入先の健康保険組合までお問い合わせください。

 質問② 
失業手当や育休手当って収入に入るの?

これも本当に多い質問です。
退職した後に失業手当(以下、基本手当)を受け取りたい、現在育休手当(以下、育児休業給付金)を受け取っている、これって収入に入るんでしょうか?

実は、これも税法上の扶養と社会保険上の扶養では考え方が異なるんです。

★103万、150万の壁などには基本手当や育児休業給付金は含まれない
雇用保険制度から支給される基本手当や育児休業給付金は非課税、つまり税金がかかりません。ですので、税法上の扶養要件を見る場合、これらの金額は含めなくても OK です。

★130万の壁は金額による!
まずは基本手当についてですが、社会保険の扶養要件である年収130万円未満を考えるときには、その間受け取る基本手当の金額は考慮されます。
ただし、その年に支給される基本手当の合計額を見て判断するのではありません。重要なのは1日に受け取る日額です。
下図のように、1日の基本手当の額が3,611円を超えると、原則社会保険上の扶養とはなれません。

ただし、基本手当を受ける前、あるいは受け終わった後は社会保険の扶養となれる場合もありますので、こちらも旦那さん(または奥さん)の加入する健康保険先にご確認くださいね!
一方、育児休業給付金を受け取っている間、社会保険料は免除となります。
社会保険料が免除されている間も「保険料は払っているもの」として将来の年金額にも反映されますし、扶養とはならず現状のまま免除を受けておくことが良いかと思います。

 

 質問③ 
独立しても扶養には入っていられる?

こちらも、税法上の扶養と社会保険上の扶養では考え方が異なります。

★103万、150万の壁などは収入から経費や受けられる控除額を引いた金額で見る
例えば仕入れ額の他接待交際費や広告費等も経費として引くことが可能です。

★130万の壁はやや複雑
こちらは旦那さん(または奥さん)の加入される健康保険先でも多少の考え方は異なります。


自身で仕事をしていても収入額によって扶養を認めてくれる先、収入額によらず認めない先、様々です。
独立等される前には、健康保険先に必ず確認することをお勧めします。
今回は一般的な話として、旦那さん(奥さん)が「協会けんぽ」に加入している場合の考え方についてご紹介します。

社会保険の扶養要件である年収130万円未満を考えるときには、収入額ではなく収入額から「直接的経費」を引いた額を見ます。
直接的経費とは、仕入れ、原材料費、店舗がある場合の家賃など、その事業をするために最低必要な経費のことをいいます。
例えば、接待交際費や広告費のようなものは直接的経費とは認められません。ここが税法上の扶養との違いですね。

扶養の年収要件について、しっかり理解しよう!

ここまで見てきたように、扶養の年収要件は少し複雑です。

パパ・ママごとに受けられる控除額や他の制度から支給されている金額も違うため、一概に〇✕では判断できない場合もあります。
また、加入する健康保険先によっても考えは様々です。大切なのはネットなどの記事だけを見て判断しないこと。ぜひ直接確認してみることをオススメします!

 

働き方の違いで給与明細や受けられる制度についてどう変わるかについて、過去の投稿でお話ししています。こちらもぜひご覧くださいね!

■渋谷恵美氏 プロフィール

2児のママ。社会保険労務士。
働くことのプロとして、企業の労務管理のサポート、相談、指導、アドバイス等を行っています。その傍ら、働くママに向けて知って得する情報をInstagramにて配信中。

 

Instagram @workingmom_my

□HP:https://toyama.tw/

 

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