「そろそろ働こうかな?」
「働き方見直してみようかな?」
と思っているママ・パパが気になるアレコレを、社会保険労務士の渋谷恵美さんに、分かりやすくまとめてコラムにしていただいている【働くママ・パパのお役立ち情報】!
このコラムを読んで、多くのママ・パパ達の役に立てば嬉しいです!
それでは早速ご覧ください…♡
こんにちは。
社会保険労務士の渋谷恵美です。
新年度になりましたね!年度が変わるこの時期は、パパやママが会社を休む機会が多くなりがち。
卒園式や入園式、参観日といった行事ごとが続くかと思えば、小さい子であれば「保育園に通い出した途端、病気をもらって休みがちになった…」という声も多く聞かれます。
そんなときに利用したいのが“有給休暇制度”。
有給休暇制度は法律で決められている、言わば「労働者の権利」でもある制度ですが、実はその内容について勘違いしているパパやママが意外と多いんです。
そこで今回は、よくある有給休暇制度の勘違いについてまとめてみました。
【勘違い①】
パートには有給休暇はない!はウソ。
「パートには有給休暇の制度がないからシフトで調整してね、と言われた」というケースをよく聞きますが、そんなことはありません。
法律では正社員やパートといった形態に関係なく、有給休暇は付与しなければならないと決められています。
ただし、付与される「日数」は正社員とパートでは異なります。
決め手となるのは「週に何日働くのか」。
週に働く日数によって、以下のように付与される日数は変わりますのでご注意ください!
▼週5日で働く場合
(正社員やフルタイムのパートなど)
▼週5日未満で働く場合
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」より
【勘違い②】
育休中は有給休暇が発生しないから
残日数が減っちゃった…はウソ。
法律の中で、有給休暇は「出勤率が8割以上の場合に付与しなければならない」と決められています。
そのため「育休中は出勤率が低いから、有給休暇が付与されなくて…」という相談を受けますが、こちらも誤りです。
有給休暇の出勤率を算定する際には、育休期間は「出勤したものとみなさなければならない」ことが法律で決められているため、育休中であっても有給休暇は付与されるということになるんですよ。
【勘違い③】
「私の会社は時間単位で有給を
取得させてくれないから違法!」は誤り
会社によっては、時間単位で有給を取得できる場合がありますよね?
これって実は任意であって、法律では時間単位の取得は義務としていないんです。
むしろ、国は「有給休暇の目的は心身の疲労の回復」としているため、時間単位の有給は労働者の代表と会社が共に認めた場合のみ取得OKとしているくらいなんです。
また、認めた場合であっても、多くの日数を時間単位で取得させることは禁止しています。(上限は1年に5日分まで)
ちなみに半日有給も、労働者が希望し、会社が認めた場合のみ取得させてもOKとされています。
でも逆を言えば、お互いに認めれば取得も可能ということ。
時間単位や半日単位での有給取得がなかなか難しい業種の会社もあるかとは思いますが、まずは取得の希望を会社に伝えてみるのも良いかもしれませんね◎
【勘違い④】
「1年に有給消化日として
会社に指定されている日がある」
は認められる場合も
有給休暇は原則、労働者の指定した日に取得させなければなりません。
ですが、一方で「計画的付与制度」というものも認められています。
計画的付与制度というのは、計画的に各自の有給休暇取得日を会社が割り振ることができる制度のことをいいます。
ただし、会社が勝手に制度化できるわけではなく、労働者の代表と会社との間で計画的付与についての協定を結ばなければなりません。
計画的付与は、有給休暇すべてを指定できるわけではないですが「付与日数のうち5日残しておけば、あとは計画的付与の対象としてもOK」とされています。
ただし、協定等を結ばずに『一方的に欠勤を有給にされた』といった場合はもちろんNG。
有給休暇日を指定されたことに疑問がある場合には、指定に至る背景をぜひ確認してみてくださいね!
【ちなみに…】
欠勤を勝手に有給扱いにされた場合、
どうしたらいい?
この相談、本当によく寄せられます!
繰り返しになりますが、有給休暇は労働者が指定した日に取得させなければならず、会社が勝手に取得したとすることは認められません。
ですが、よくよく話を聞くと会社が「欠勤すると給与を控除しなければならず、減額となってしまうから…」と、気を遣って有給処理としてしまうケースも多いんですよね。
勝手に有給休暇の処理をされてしまった場合で、それが自身が望まないことであれば、まずは会社にその旨を申し出てみてはいかがでしょうか?
身近な制度だからこそ、
しっかり理解しておこう!
有給休暇は働くパパやママにとっては最も身近で利用する機会も多い制度かと思います。
特にお子さんが小さいうちは活用が望まれるものですよね。
だからこそ、少しでも他の会社と制度が違うと疑問に思ったり、時には不安に感じてしまうことも多いように感じます。
今回、よく勘違いしてしまうポイントをまとめてみましたが、この内容を理解した上で、まずは自分の会社の有給休暇の制度について知ることが、今ある不安の払拭や今後の制度の上手な活用にもつながるかと思います。
ぜひ、調べてみてくださいね!
■渋谷恵美氏 プロフィール
2児のママ。社会保険労務士。
働くことのプロとして、企業の労務管理のサポート、相談、指導、アドバイス等を行っています。その傍ら、働くママに向けて知って得する情報をInstagramにて配信中。